2014年御翼11月号その4

聖なる逆説 ――― パット・ロバートソン

 カリフォルニア州で有名な産婦人科医、リチャード・E・イーピー医師は、一九七二年に、二階のバルコニーから転落して頭蓋骨を骨折、臨死体験をする。彼の霊は肉体から離れて、天国に行ったという。そこは最も美しいところで、花の咲いている草原に入り歩いていると、彼は花々の美しさに庄倒され、「花束にして匂いを嗅いだらすばらしいだろうなあ」と考えた。そして、彼がかがもうとした時、彼の手の中には既に花がいっぱいあった。別の場所で、遠くに見える谷に行けたらいいと思った時、突然彼はその場所にいたのだ。彼は、天国では、ただ考えるだけでその行動が生み出される、という結論に達した。イエスは御国(みくに)(神の支配)には二つの次元があると教えられた。直接見える御国(この世界)と、今は見えないが、やがてこの時代の終わりに完全に現わされる御国である。御国が完全な形で現われるとき、私たちが思ったことは必ず実現するようになるのだ。
 しかし、今、この地上では私たちの思いは実現しないものもある。この世に生きる私たちは、自己中心的な願いを持つからである。イエスの時代の人々も、自分たちの王が偉大な支配者で、必要を満たす供給者であるという自己中心的な保証を求めていた。真の救い主は、この世的な力を用いて救いを完成される方ではない。だから、自己中心的な願いをかなえようとする者に、救い主の到来は分からないのだ。救い主は、この世とは逆の方法で、神の国(神の正しい支配)を実現される。

聖なる逆説  パット・ロバートソン『神の10の法則』より
  ・神の国の憲法(いのちの力と祝福を経験しようとする者が優先するもの)には、多くの逆説がある。
  ・この世は、敵を憎めと言います。御国は、敵を愛しなさいと言います。
 ・この世は、仕返しをしろと言います。御国は、あなたを虐(しいた)げる者に善を行いなさいと言います。
 ・この世は、どんな代価を払っても自分の命を守れと言います。御国は、命を捨てることによっていのちを見い出すと言います。
 ・この世は、若く美しい体は欠かせないと言います。御国は、いのちを見い出すためには、麦の一粒でさえ死ななければならないと言います。
 ・この世は、頂点まで自分を押し進めよと言います。御国は、人の上に立ちたければ、仕えなさいと言います。
 ・この世は、あなたはナンバーワンだと言います。御国は、先の者は後になり、後の者は先になると言います。
 ・この世は、金銀を獲得せよと言います。御国は、富む者になりたければ、天に宝を蓄えなさいと言います。
 ・この世は、群集を食い物にせよと言います。御国は、貧しい者に善を行いなさいと言います。

 信仰は見えないものに対する権利証書だと言える。そして、私たちの役割は、神が与えてくださった証書に従って、それが成し遂げられたと心で信じ、それを口で語るのだ。神の国の祝福は、この世的な思いとは逆の方向に思いを向けなければ、与えられない。私たちがこの奥義を知るなら、聖書は実行不可能な神学の本ではなく、むしろ成功を保証する考え方や導きが書かれている、人生のための実践的な書物だということに、改めて目が開かれる。そしてそれは本当の成功、本当の幸福、本当の繁栄であって、この世的な、はかなく、うわべだけの、不確実な成功とは違う。聖書は政治、政府、ビジネス、家族、および人間のすべての事柄のために書かれている、実行可能なガイドブックなのだ。

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